父のこと。

 
11月19日、父が亡くなりました。
10月の終わりごろから食欲が落ちてきていましたが、そのままほとんど食事もとれなくなり・・
私の誕生日である11月16日(正確には15日から日付が変わる頃)、救急搬送されて再入院。
入院先は膵臓がんの手術をした病院で、病室もまったく同じところ。
当直のドクターにはどうせ末期がんだから、すぐにダメになるでしょ、みたいなことを言われたけど
父はそのあと2日間頑張りました。

9月ごろだったか?腹水がたまりはじめ、母が心配して何度も病院に連絡しました。
診察まで時間があいてたから、もう少し早めに診てほしいと。
でも、病院は『先生がいないから』『予定日まで待ってください』
じゃあ、急変したらどうするんですか?の問いには、『かかりつけの病院はないんですか?』
診察の日。ドクターは何の検査もせず、父の診察をして『膵臓がん腹膜転移です』
腹水は?抜くことはできないんですか?と母がたずねると、『どうにもなりません』
じゃあ、どんどんたまる一方ですよね?パンパンになってもどうにもならないんですか?
『そのままです』
もともと、このドクターはなにを聞いても『そんな専門的なこと聞いても、素人にわかるんですか?』
とか、『そんなちっぽけなことよりもっと大変なことがあるんだから』などと言うのでほかの患者さん
からも嫌われていたらしい。

そこで母は別の病院を思い出して父を転院させました。
私と兄が昔からお世話になっていた先生が分院として開院した病院で、CTもある。
そこの先生は、『腹水、抜く方法ありますよ!すぐに抜いてあげるからね』
タンパク輸液をすぐにしてくださり、腹水も1週間くらいできれいになった。
父も喜んでたけど、転移が怖くていろいろな検査を希望した。
CTでは転移はなし。でも、便検査で潜血が出てるから、内視鏡をしましょうということになって
その検査も都内で実施。何もみつからなかった。
でも、その検査が父をひどく消耗させた。

そのあとからどんどん体調が落ちていったように思う。
大学病院で、腹水を末期がんだと言われ、腹水もどうにもならないと言われてから父から笑顔が無くなった。
まるでぼけてしまったかのようにぼーっとしていたのを思い出すのが悲しい。

父ががんになって、入院して、いろいろな方々にお世話になったけれど・・
私たち家族は、父を落胆させ、そのまま逝かせた大学病院のドクターが許せない。
腹水がたまって転院した時、転院先で撮影したレントゲンで胸水までたまっていたことがわかった。
放っておいたらもっと早く殺されていたかも・・

膵臓がんは、発見も遅れがちだしいまだに5年生存率はとても低い、難しいがんだという。
でも、おなじ命を生きるなら、せめて不安とか絶望感とかをやわらげて欲しかった。
ドクターの言葉は患者の命を左右する。
そんなことがものすごくよくわかった。

ドクターのみなさん。これからドクターを目指すみなさん。
どうか患者さんの気持ちを少しでも理解しようとしてあげてください。亡くなってからも『あの先生でよかったよね』
『ほんとにお世話になったよね』って言われる先生になってくださいね。
こんなに悲しい逝き方は父だけで十分だから・・

かくいう私も動物のドクター。
私の言葉がダイレクトに患者を痛めつけはしないけど、飼い主さんのココロを引き裂くことは十分あり得る。
自分も気を付けよう・・
そう思う毎日です。